なぜ批判は賞賛よりも記憶に残るのでしょうか?

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リヴァイアサンプレス:

「ネガティブバイアス」に関しては、扱いが異なる2つのタイプがあると思います。 1 つは悪意のある誹謗中傷や中傷であり、これは完全に無視できます。もう一つのタイプは、合理的な分析に基づいた批判的な意見です。このタイプは、実際には、自分自身の意見をさらに熟考するための良い機会になります。これにより、自分の見解が更新され、古い思考の枠組みが排除され、新しい視点が構築される可能性があります。

もちろん、日常生活、特にインターネット上には、否定的で極端な感情がたくさんあります。批判というよりは、非合理的な雑音と言った方が正確でしょう。

私たちは子供の頃、「棒や石は骨を折るが、言葉は人を傷つけない」とよく聞きました。しかし、大人になった私たちは、この古い格言がまったくの間違いであることを学びました。身体的な怪我は治るのに数週間かかるかもしれませんが、否定的なコメントは一生の傷となる可能性があるのです。

学校の先生からの冷静な批判であろうと、友人や愛する人との激しい口論中に投げつけられた残酷な言葉であろうと、私たちはネガティブバイアスと呼ばれる現象のおかげで、肯定的なコメントよりも批判のほうがはるかに鮮明に記憶する傾向があります。

(www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3652533/)

実際、多くの複雑な影響は、このバイアス、つまり、否定的な感情が肯定的な感情よりも強く私たちに影響を与えるという一般的な傾向によって説明できます。クイーンズランド大学の社会心理学者で『悪の力：そしてそれを克服する方法』の共著者であるロイ・バウマイスター氏は、この偏見により、私たちは脅威に余分な注意を払い、危険を誇張してしまうと述べている。

私たちの周りの世界の暗い側面に焦点を当てることは暗いように聞こえますが、それによって人々がよりよく対処する準備が整い、自然災害から疫病や戦争まであらゆるものを人類が克服するのに役立ってきました (ただし、楽観主義は極端な状況のストレスから私たちを守るのにも役立つという証拠もあります)。

私たちの体を守り、生き続けるために進化した人間の脳には、新たな危険に対処するための3つの早期警報システムが備わっています。古代の基底核系は闘争または逃走反応を制御し、大脳辺縁系は脅威に対する感情を刺激して危険を理解するのを助け、より現代的な前頭前皮質は脅威に直面しても論理的に考えることを可能にします。

(www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5940768/)

(www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3543080/)

(www.nature.com/articles/35036228)

「私たちの祖先の中で、そうした（否定的な）偏見を持っていた人たちは生き残る可能性が高かった」とバウマイスター氏は言う。人間は脅威を探し出すようにできており、生後8か月ほどの赤ちゃんでも、友好的なカエルよりもヘビの絵を見たがります。 5歳になると、彼らは幸せな顔よりも怒った顔や恐れている顔を重視することを学んでいた。

(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20121878/)

(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19143803/)

バウマイスター氏は、最初から問題に気付くことは良い戦略になり得ると述べた。 「まずやるべきことは、マイナス面を排除して問題を解決することです。基本的には、まず損失を抑える必要があります。」しかし、ネガティブなことに焦点を当てることで極端な状況では安全を保つことができるかもしれませんが、ネガティブバイアスは日常生活では役に立たないかもしれません。バウマイスターは、否定的な感情が私たちに与える過度に強い影響を克服することを学ばない限り、私たちの世界観やそれに対する反応の仕方は常に歪んでしまうと考えています。

個人攻撃や否定的なコメントは、肯定的なフィードバックよりも私たちの心に残ります。 © サイバースマイル財団

たとえば、新聞に出てくる世界は憂鬱なものに見えることが多いです。ジャーナリストは、新聞の売り上げや視聴者数を増やすためだけに悪いニュースを追いかけていると非難されることが多い。これはある程度は真実かもしれませんが、研究者たちは、読者は自然に災害の話に惹かれ、それを他の人と共有する可能性が高いことを明らかにしました。潜在的な危険性についての噂は、たとえそれが真実でないように思えても、良い結果の可能性についての噂よりもはるかに速く人々の間に広まります。

(www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513816301660)

(www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513817301976)

ある研究では、カナダのマギル大学の科学者が視線追跡技術を使用して、ボランティアがどのニュース記事に最も注目したかを調べました。その結果、人々は肯定的または中立的なニュースよりも、腐敗、不満、偽善、その他の悪いニュースに関するニュースを選ぶ傾向があることがわかった。時事問題や政治に関心のある人は特にネガティブなニュースを選ぶ傾向があったが、尋ねてみると、同じ人たちが良いニュースを好むと答えた。

(www.cpsa-acsp.ca/papers-2013/Trussler-Soroka.pdf)

© CNBC

ニュースで読んだり見たりすることは、私たちの恐怖心を煽ります。例えば、バウマイスター氏は著書の中で、過去 20 年間に米国でテロリスト集団によって殺害された人の数は、同じ期間に自宅の浴槽で亡くなった人の数よりも少ないにもかかわらず、テロに対する私たちの恐怖は驚くべきものだと説明しています。

(www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09546553.2018.1530662)

仮想的な悲惨な状況を心配すると、私たちは恐怖を感じますが、ほんの 1 つの小さな否定的な経験が、私たちの 1 日全体に不釣り合いな影響を与える可能性があります。セントルイスのワシントン大学の心理学および脳科学の教授であるランディ・ラーセン氏は、否定的な感情は幸せな感情よりも長く続くことを示唆する証拠のいくつかを検討した。彼は、私たちは良いことよりも悪いことについて考えることに多くの時間を費やす傾向があることを発見しました。これは、恥ずかしい瞬間や他人からの批判が何年も私たちの心に残る理由を説明するのに役立つかもしれません。

(psycnet.apa.org/record/2010-23922-005)

愛する人、家族、友人からの傷つくようなコメントに対して、悪い気持ちにならないのは難しいことです。 「私たちが愛し信頼する人々からの否定的なコメントは、見知らぬ人からの否定的なコメントよりもはるかに大きな影響を与えると思います」とバウマイスター氏は語った。これは、私たちが友人や家族からどのように扱われたいかについて、一定の期待を持っていることが一因です。

©ナイジェリアの声

場合によっては、愛する人からの否定的なコメントが、長期にわたるトラウマや恨みを引き起こし、関係が崩壊する原因となることもあります。ケンタッキー大学の研究者らは、パートナーが「消極的な忠誠心」を維持するために関係の問題を無視すると、その関係が維持されることはめったにないことを発見した。 「関係がうまくいっているかどうかを決めるのは、パートナーがお互いに良いことをしたり、建設的なことをしたりすることではなく、問題に直面したときにパートナーが破壊的なことをしたり、しなかったりすることである」と言われています。

(www.sciencedirect.com/science/article/pii/S266732152200035X)

(www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01463373.2014.890118)

10年以上にわたってカップルを追跡した別の研究では、結婚後最初の2年間にカップルがお互いに対して表した否定的な感情の強さが、その後別れるかどうかを予測し、離婚に至ったカップルは結婚後最初の2年間により強い否定的な感情を表わしていたことが示されました。

(psycnet.apa.org/record/2001-16163-005)

ネガティブバイアスは、私たちの多くが、関係がうまくいっているときはそれを当然のこととして受け止め、欠点にすぐに気づき、小さな問題を大きな問題に変えてしまう理由を説明しています。

批判が大量に寄せられると、その大きさは増幅され、ソーシャル メディアは潜在的な否定的な反響室になります。ビリー・アイリッシュは、2019年に最も売れたアルバムがあるにもかかわらず、レビューを読まないようにしているとBBCブレックファストに語った。

「私の人生は台無しになりました」と彼女は言った。 「自分がやっていることがクールであればあるほど、嫌われる人が増える。おかしい。これまでで最悪の状況だ。」ポップ歌手デュア・リパと元ガールズ・アラウドのメンバー、ニコラ・ロバーツもオンライン荒らしの影響について発言した。

バウマイスター氏は、人間の脳は何百、何千という見知らぬ人々の警告ではなく、狩猟採集民の緊密な集団の警告に注意を払うように進化したため、ソーシャルメディア上のネガティブな情報に対処する準備が不十分だと警告している。 「だから、大勢の人々から否定的な意見を聞くのは、必ず悲惨なことになる」と彼は語った。

© ルシ・グティエレス

もちろん、オンラインの荒らしに遭遇したり、友人から批判されたりすることの影響は人によって異なります。しかし、否定的なコメントを受け入れ、内面化し、強化することは、ストレス、不安、フラストレーション、心配を増大させる可能性があると、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの行動科学者で客員研究員のルシア・マッキア氏は言う。 「こうした否定的な感情に対処することは、身体に大きな影響を及ぼし、身体的な痛みを引き起こしたり、悪化させたりすることさえある」と彼女は付け加えた。

多くの研究により、人は年をとるにつれてポジティブなことに焦点を当てる傾向があることがわかっています。科学者たちはこの効果を「ポジティブバイアス」と呼んでおり、中年になると私たちはネガティブな情報に集中するのではなく、ポジティブな詳細を覚え始めると考えています。バウマイスター氏は、これは若いときには失敗や批判から学ぶ必要があるが、年齢を重ねるにつれてその必要性が減るためだと考えています。

(www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6186441/)

もう一つの役立つ戦略は、このように考えることです。レビューは、レビューを受ける人よりも、レビューを作成する人と関係があります。

—ルチア・マッキア

しかし、否定的なコメントは、特に感受性が強いときや傷つきやすいときには、どの年齢でも人を傷つける可能性があります。 「どん底にいると立ち直るのが難しいので、この時期に否定的なコメントに対処するのは特に難しいかもしれません」とバウマイスター氏は語った。

特定の性格の人が他の人よりも否定的な感情を抱きやすいかどうかは、激しく議論されているテーマだが、最近の研究では、人の性格特性や政治的イデオロギーと否定的偏見との関連を示す「一貫した証拠」は見つからなかったとマッキア氏は述べた。

「私たちはみんな、ネガティブなコメントに敏感です。なぜなら、『よりタフな』性格特性など存在しないからです。『誰もがネガティブなコメントを受ける』と考えることで、ネガティブなコメントに対処することができます。そして、これは私たち自身の精神衛生を守るための良い戦略になり得ます」と彼女は述べ、「コメントは、それを受ける人よりも、コメントをする人に関するものだと考えるのも、役に立つ戦略かもしれません」と付け加えた。

© グローバルプレスジャーナル

自分のネガティブバイアスを認識することで、そのマイナスの影響を克服し、さらにはそのメリットを活用することもできます。例えば、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の社会心理学教授シェリー・テイラーは、乳がんを患う女性は病気に対処するために非現実的なほど楽観的な信念を抱くことがあると指摘している。こうした「ポジティブな空想」は、精神的健康と肉体的健康の両方に良い影響を与えており、必要なときに物質よりも精神を優先するのに役立つことが示唆されています。

(psycnet.apa.org/record/1988-16903-001)

テイラーの研究は、否定的な感情に直面したときに人々がよく使う反応、つまり「出来事の影響を抑制、最小化、あるいは排除する」能力である最小化にも光を当てています。例えば、テイラーの研究では、がん患者は自分自身の問題を小さく見せるために、自分より状態が悪い女性と自分を比較することがあった。

プロの冒険家でスカイダイバーのフェリックス・バウムガルトナーが、恐怖に立ち向かうために最小化テクニックを使う必要がある人物だと想像するのは難しいかもしれません。しかし、オリンピック選手たちを指導する心理学者のマイケル・ジャーヴェイス氏は、これらの技術を利用してバウムガルトナー氏が後者の目標を達成し、初の超音速スカイダイバーになれるよう支援した。

ジャーヴェイス氏はインタビューで、バウムガートナー氏は特製のトラックスーツに閉じ込められるのではないかと心配していたと語った。ジャーヴェイスは、スーツを潜在的な監獄として否定的に捉えるのではなく、スーツが自分をスーパーヒーローに変身させると想像し、それによって良い面を増幅し、悪い面を最小化するようにと彼に教えた。呼吸法と認知行動療法（CBT）を組み合わせることで、バウムガートナーはスーツを着た状態での持久力を高め、恐れを知らぬフェリックスになるという目標を達成することができた。

フェリックス・バウムガルトナーは、記録破りのスカイダイビング中にネガティブな思考を克服するために視覚化技術を使用しました。 © レッドブル/アバカプレス/アラミー

バウムガルトナー氏ほど高い野心を持つ人はほとんどいないが、私たちは皆、彼から学ぶことができる。ネガティブな面を克服し、ポジティブな面を強調することで、夢を実現できる可能性が高まるかもしれません。

サラ・グリフィス

翻訳者：クシャン

校正/開けゴマ

オリジナル記事/www.bbc.com/future/article/20220624-why-criticism-lasts-longer-than-praise

この記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス（BY-NC）に基づいており、KushanによってLeviathanに掲載されています。

この記事は著者の見解を反映したものであり、必ずしもリヴァイアサンの立場を代表するものではありません。